理学療法士の仕事は国家資格を持った上で行います。そのため理学療法士免許を用いて自分が望む職場に転職することも比較的容易だと言えます。
また入職した当初は理想の職場であっても年を重ねる中で自身の考え方や周囲の環境が変化し、合わない職場になることがあります。
ところで、理学療法士はどのような理由で退職を考え、実行するのでしょうか。
その本質は一般的なサラリーマンと同じものもあれば、理学療法士ならではの理由があります。
この記事では理学療法士が「辞めたい」と考える理由と、退職することの是非について解説します。ぜひ最後までご覧ください。
上司と折り合いがつかない場合勤め続けるのは難しい
理学療法士は専門職です。そのため同じ組織で配置転換されることがほとんどありません。
また、クリニックなど小さい組織も多いため同じスタッフ間でコミュニケーションをする密度が高くなります。
したがって職場内に気が合わないスタッフがいる場合、その精神的ストレスは多大なものになることがあります。
特に直属の上司との関係が上手くいかない場合、軌道修正が難しいことが多くあります。
大企業の場合「どちらかが転勤するまでの我慢」で乗り切ることができます。
しかし理学療法士の場合どちらかが退職しない限り問題解決は困難だと言えます。
※理学療法士の人間関係の悩みについてはこちらに詳しく書きました。
待遇が良くないと働いても生活が成り立たない
近年、理学療法士の待遇が悪くなっていると言います。
それは医療や介護の現場で理学療法士が生み出せるお金が減っているからだと言われています。
給与や賞与が減らされることは少ないですが、退職金や各種手当、場合によっては休日数を減らすことで徐々に待遇が悪化することがあります。働いても給料が上がらないどころか、減ってしまうようでは働き甲斐が無くなります。
また筆者が聞いた話では、とある総合病院で夕方以降の外来診察を止めたため、それまで得ていた夕方勤務による手当てが無くなり「この給料では家族を養うことができない。」と言って退職した理学療法士がいたそうです。
新人1年目の理学療法士が辞めたくなる理由は?転職もアリだよって話
スキルアップに身を粉にするモチベーションはいつまでも続かない
理学療法士の仕事のやりがいとしてスキルアップが仕事に直結しやすいことがあります。
そのため経験の浅い理学療法士を中心に終業後や休日の時間を使ってスキルアップに勤しんでいます。
また理学療法士の就職先の中には、リハビリ部門全体がスキルアップに対する意欲が高い施設があります。
したがって新卒の理学療法士にはこのような勉強熱心な職場は理想の職場だと感じて入職することが多くあります。
しかし当初は高かったスキルアップへのモチベーションが年数を重ねるうちに低くなることがあります。
また理学療法士自身が入職当初に抱いていた興味や方向性が変っていくことがあります。このような時、理学療法士は自らの指向に合わせて転職を考えることがあります。
※理学療法士が大変だという理由はこちらの記事もご覧ください。
自分が理学療法したい患者様や利用者様がいなければやりがいが沸かない
理学療法士が行う「理学療法」とは対象となる病気や疾患に制限はありません。
病気やケガによって何らかの機能や動作能力の低下があれば全て理学療法の対象になります。
また働くフィールドも病院や介護施設だけでなく、訪問やスポーツ施設等多岐に渡ります。
しかしほとんどの職場ではこれらすべてのフィールドを満たすことはできません。
理学療法士の中には様々な施設で違った状態の患者様や利用者様への理学療法を経験することに意欲を持つ方がいます。
このような場合、現在の職場から退職を検討すると言えます。
※理学療法士の職場や活躍の場は広がっているという記事を書きましたのでこちらもご覧ください。
理学療法士は仕事がない?将来が不安? – 介護Love blog
引っ越しや配偶者の転勤も退職を考えてしまう
理学療法士も1人の人間として、仕事以外で自身を取り巻く環境があります。
自分の親や子供の事情で引っ越しを余儀なくされることがあります。
また夫や妻が転勤しなければならなくなった場合、理学療法士もそれに付いて行くことがあります。幸いにも理学療法士は日本国内であれば就職先がまんべんなくあります。
したがって理学療法士は自分自身が現在の勤務地を退職し、移転先で転職することがあります。
結婚や出産を機に退職する理学療法士もいる
一般企業でも「寿退社」と呼ばれるものがまだ多く見られます。
一方で理学療法士の場合、結婚しても働き続ける比率は高いと言えます。
しかし結婚はライフステージの中で自身の今後について考え直す絶好の機会です。
結婚後は配偶者だけでなく、配偶者を取り巻く人たちとの付き合い方も考える必要があります。
また出産も女性だけでなく男性の理学療法士にとってもライフステージにおける大きな転機になります。
理学療法士自身の社会的役割が変わる時、現在の職場とは折り合いがつかなくなる可能性があります。
同じ職場で働き続けることが正解とは限らない
日本では働き方について長らくの間「終身雇用・年功序列」という考え方が定着しています。この考え方は比較的古い医療機関では存在しています。
そのため勤続年数が収入や職位の判断基準として比重が置かれています。
また、同じ職場で長く働き続けることによる人間関係においての優位性も外せないメリットだと言えます。
ところが医療や介護の業界では収入の先細りが懸念されているため長く働き続けることでの待遇面でのメリットは逓減しているのが現状です。
その一方で新設される施設も多く、新規のスタッフとして働く機会も多くあります。
したがって理学療法士は同じ職場で働き続けることに重要性は少なく、むしろ転職して様々な経験を得ることのメリットが増えていると言えます。
転職してみないと分からないことがある
転職は「怖い」というイメージを持つ方がいます。自分の知らない世界に飛び込んでいくのですから不安が付きまとうものです。
「理学療法士であれば転職しても同じような仕事だから安心」とは言いきれないものです。
でも「良い機会」だと感じるものがあれば積極的に転職していく方が良いと言えます。
なぜなら退職や転職を考える時点で、既に今の職場では物足りなくなっているからです。新しい職場では不慣れがゆえに様々な苦労を強いられることもあるでしょう。
しかしそれは理学療法士として新たな経験とキャリアを積み上げることができるとも言えます。筆者は10年以上務めた病院を退職してクリニックに転職しました。
環境が変わり苦しい面もありますが、病院勤務を続けていれば絶対できなかった仕事やキャリアを積むことができています。
自分の直感を信じて転職してみよう
ここまで理学療法士が辞めたくなる退職理由について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
この記事に関するポイントは以下にまとめることができます。
- 上司との人間関係が悪いまま働き続けるのは致命的であること
- 待遇を改悪する職場で働くことは生活の崩壊にもなりうること
- いつまでも「自己研鑽」ばかりでは身が持たないこともある
- 担当したい患者様や利用者様が経験と共に変わっていくことがある
- 家族の環境変化に合わせて職場を変える必要があること
- 医療や介護で終身雇用や年功序列はもはや維持できない
- 転職先に飛び込んで、自らを磨き上げることが大切
理学療法士は社会人であると同時に職人として自らのスキルを磨きあげて職務を全うする仕事です。
そこには理学療法士ごとの「こだわり」や「プライド」があって当然です。
したがって無理に同じ職場で働き続けるメリットはそれほどないと言えます。
少しでも退職や転職を考えたのであれば、一度転職活動をされてみてはいかがでしょうか。
理学療法士としての自分自身を見直す良い機会になりますよ。
なお、理学療法士の転職支援会社はこちらを参考にご覧ください。
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