最近理学療法士に関して気になるニュースがありました。
「2040年に理学療法士・作業療法士の数は需要の約1.5倍になる」
これは現役の理学療法士はもちろん、これから理学療法士を目指す方たちにとっても考えさせられるニュースでした。
理学療法士という仕事の将来性に対して疑問を持たれた方もいるかもしれません。
しかし将来のことは分からないものです。
理学療法士が多すぎるのかどうかということも様々な側面から考える必要があります。
そこでこの記事では、理学療法士は本当に飽和状態なのか?そしてなぜ飽和状態と言えるのかについて解説します。
さらに理学療法士の需要はこれまでも増えて続けてきたことと、今後も増える可能性があること、そしてその理由について解説します。ぜひ最後までお読み下さい。
政府は「理学療法士は余る・飽和する」と分析した
まず、この度のニュースについて解説します。
4月5日厚生労働省から「医療従事者の需給に関する検討会」での理学療法士・作業療法士についての発表がありました。
これによると2027年ごろから理学療法士の有資格者数は需要数を上回る可能性が高いとのことでした。
さらに2040年の推計では需要のおよそ1.5倍の理学療法士がいることになるとのことでした。
【出典】
2040年は高齢者の数がピークになる時期なので需要はまだある
さらに問題として、理学療法士の飽和状態は2040年以降さらに加速するのではないかということです。
なぜなら2040年は日本で最も多いと言われる「団塊の世代」の方たちが90歳を越えてきます。
そうなると団塊の世代の方たちが寿命で亡くなり、高齢者の数が大幅に減少することになります。
したがって仕事の対象が高齢者中心の理学療法士は、需要の減少に大きな影響を受けると考えざるを得ません。
理学療法士は仕事をシェアする余地があるので飽和状態も解消する
だからと言って理学療法士はこのまま衰退していくと考える必要なありません。
この推計では様々な前提があり、それら前提を覆すことで理学療法士の需要を保つことができます。
まずこの推計では理学療法士が適度に残業(年間360時間以内)をして有給休暇も年5日程度しか取得していない労働環境であると言う前提があります。
したがって理学療法士がより効率的に仕事を配分して残業を減らし、有給取得を充実できれば1.25倍程度まで需給バランスが戻ります。
この推計はこの度の発表でも開示されている数値なので、実現可能性は高いと言えます。
20年前から理学療法士は増えすぎているので飽和すると言われ続けている
話しは少し変わりますが、理学療法士が飽和すると言う話は20年前から言われ続けていました。
その当時筆者は理学療法士の養成校で学生をしていました。
さらにその当時は介護保険の導入が準備されていたこともあり、理学療法士の養成校が急増し始めていました。
そのせいもあって「理学療法士は病院ではもう十分足りつつある」と言われていました。
あれから20年が経ち、理学療法士の数はその当時よりはるかに多くなりました。
しかし理学療法士が飽和しているとは言い難いと言えます。
理学療法士はその活躍の場を広げ続けてきた
ではなぜこの20年間、理学療法士は飽和しなかったのでしょうか。
それは社会の需要に応じて、理学療法士が働く場所を大きく広げていったからです。
まず大きく広がったのはリハビリ病院(リハビリ病棟)です。
リハビリ病院(病棟)とは患者様の治療をリハビリ中心に行う専門病院(病棟)です。
そのためこれまででは考えられない多数の理学療法士や他のリハビリ専門職が同時に勤務します。
最近ではリハビリスタッフが100名を超えるリハビリ病院も増えてきています。また多くの医療機関がリハビリ病院や病棟を新設しました。
介護分野では理学療法士は不足している
次に、理学療法士の活躍場所が広がったのは介護分野です。
特に近年は訪問リハビリに注力する事業所が増えています。
さらに訪問リハビリは今最も待遇が良いと言うことで、経済的余裕を求める理学療法士が転職しています。
また一方でデイサービスは待遇面では劣るものの、パートタイムなどで気軽に働くことができるため育児中の女性理学療法士やフリーで働くことを希望する理学療法士に人気があります。
政治的な側面から職域を広げられる
ここまでは、理学療法士が職域を広げていた要因について解説しました。
ではこれからも職域は広がり続けられるのでしょうか。
これについて筆者は「十分に可能性がある」と考えます。
その理由はこれまで理学療法士が力を入れてこなかった分野や要素にまだ余地があるからです。
はじめに挙げられるポイントは政治的な要素です。
一般的に同じ資格を持つ者同士は協働で国会議員を選出し、政治的な力を利用して自らの権利や職域を守ります。
医師や看護師ではすでに当たり前のように行われています。
一方で理学療法士は近年になってようやく国会議員を送り出し始めました。
これは診療報酬や介護報酬といった取り決めの中で理学療法士の意見や見解を発言できるようになったと言うことです。
今回の政府の推計に対しても理学療法士は国民の代表としてその対策や矛盾点を追求することができるのです。
したがって理学療法士が推計通りに増えすぎて飽和状態になるかとは考えにくいと言えます。
健康維持や増進の市場に理学療法士が入り始めている
理学療法士は職能としてポテンシャルを持ちながら、不得意としてきた分野があります。
それは健康維持や増進を目的とした市場です。
これは医療保険や介護保険の枠から外れた領域になります。
厚生労働省の見解でも予防分野の理学療法に対して医師の指示なく理学療法士が参入することを容認し始めています。
しかしこの分野は一般的なビジネスと同じような経営のスキルが求められるため、参入しても上手くいかない理学療法士が多くいました。
しかし近年は経営スキルを積極的に学習し、成功を収める理学療法士が出てきています。
また理学療法士のスキルに期待して様々な協業を求めるビジネスも続々と出てきています。
例えばエステや美容領域との協業や、専門的な記事やコラムを執筆する仕事も今後は増えていくと言えます。
さらに近年ではインターネットの技術を駆使して体操指導をするシステムを武器にビジネスをしている理学療法士がいます。
理学療法士がより身近な存在に変われば仕事はたくさんある
このように理学療法士は医療や健康の分野で筋トレやストレッチといった身近な健康法に精通した職業です。
したがって医療機関や介護施設だけしか職場が無く、理学療法士が増えすぎて困るなんてことはありません。
むしろ多くの市民に体を使った健康維持の伝道師として活躍できる場所は無限にあると言えます。
増えすぎた理学療法士からこれまでにない「理学療法士ビジネス」が生まれていく
この記事では理学療法士の需要はこれまでも、そしてこれからも広がり続ける理由について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
今回の記事のポイントとして以下のものが挙げられます。
- 政府は理学療法士が飽和すると分析している
- 2040年以降高齢者の数が減る
- 20年以上前から理学療法士は飽和すると言う話があった
- しかし理学療法士は職域を広げ続けてきた
- 今後も理学療法士の職域が広がる余地は十分にある
- より地域に身近な位置に理学療法士の需要はある
健康とは高齢者だけでなく若い方たちにも高い関心があると言われています。
であれば、理学療法士がそのスキルを使うことができる場面はまだまだたくさんあると考えられます。
したがってこれまでにない新しい発想で理学療法士が活躍する場面がこれからも増え続けると言えるのです。
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