どのような仕事でも長時間の残業は身体への負担が大きくなります。
理学療法士だからと言って24時間理学療法のことばかり考えることはできません。
したがってあまりにも残業の多い職場であれば転職を検討すべきです。
ところで理学療法士が働く現場での残業はどのような現状なのでしょうか。
そしてなぜ残業の多い職場が存在するのでしょうか。
その本質は役割分担や業務の配分が十分に行われていないことがあります。
そこでこの記事では理学療法士の職場での残業に関する現状と原因について解説します。
その上で解決策や解決不能な場合の転職についての解説をします。
是非最後までお読みください。
筆者が見学した病院では19時を過ぎてもスタッフが残業していた
数年前の話ですが、筆者は施設見学のため知人の理学療法士が所属長をしている病院へ行ったことがあります。
17時過ぎに来院して知人と共に施設を見学しました。
そのあと理学療法士のスタッフルームに入り質問などをしていました。
その病院では理学療法士が数十名勤務しており、私がスタッフルームに入った時も当たり前のように業務を行っていました。
そして19時過ぎに見学を修了した時も業務を続けている理学療法士が多数いました。
遠巻きに見る限りではこの病院の理学療法士たちは書類の整理や自主的な学習をしていました。この時私は残業の多い職場に耐え切れずに退職する理学療法士も多いのではないかと心の中で感じていました。
そしてなぜこのような残業が常習化してしまうのであろうかについて考えるきっかけにもなりました。
仕事に対する異常なモチベーションがサービス残業を肯定する
ではなぜ、理学療法士たちはここまで残業が多いのでしょうか。
その理由の一つとして「業務に対するモチベーションが高すぎる」ことが挙げられます。
理学療法士は治療行為の成果によって自らのアイデンティティを保つ仕事です。
そのため、理学療法に対して高い情熱を持って取り組む理学療法士も多くいます。
そして通常の業務が終了した後もそのまま職場で机上の学習や、技術の練習を続ける理学療法士が多数います。
このような真摯な取り組みが是とされ、定時ですぐに職場を離れる理学療法士を非とする雰囲気ができ上っている職場が存在します。
しかし仕事に対する取り組み方は人それぞれです。また、学習のペースも急げばよいと言うものではありません。
現場の業務に追われて本質的な業務改善に取り組まない
残業が多くなる原因の本質は複数あることがほとんどです。
他に挙げられる原因として業務の効率化に取り組もうとしていないことがあります。
医療機関や介護施設の多くは人件費が大きなコストになります。
そのため最小限の人員で最大限の患者様や利用者様に理学療法を行うことが多くあります。
したがって定時の勤務時間内で患者様や利用者様を最大限担当します。
しかし理学療法士の仕事は書類整理をはじめ、スタッフ間の折衝や会議など多岐に渡ります。職場内の清掃や整理整頓も大事な業務です。
このような付随の業務は定時を超えた時間で行うことがあります。
このようになると理学療法士は現状の勤務をこなすことに精一杯になり、残業を減らすために知恵を絞る余裕もなくなります。
そもそも医療や介護のリーダーである医師が多忙なので残業が多い
医療機関や介護施設には医師の存在が不可欠です。
そのため大事な取り決めには必ず医師の確認が必要になります。
ところが日本の医療・介護業界では医師も多忙です。
医師自体が過剰な患者様を担当していることが多くあります。
したがって大事な取り決めは全て医師の業務終了後になり、理学療法士も医師に時間ができるまで残業して待機する必要があります。
新人教育や実習生指導はサービス残業してでも取り組むべきという風潮
理学療法士は毎年数多くの新人が排出されます。
そのため新人教育が重要な業務になるケースが多くあります。
しかしこういった部下や後輩の教育業務は定時の時間内で行えないことが多くあります。上司や先輩理学療法士も自らが担当する業務を定時かそれを超えて終わらせた後に新人の指導を行います。
これでは理学療法士の残業時間が多いのも当たり前です。
また、理学療法士は養成校時代に「実習」をする機会が多くあります。
実習生の指導も新人教育に近い状態になっているのが現状です。
筆者もかつて多くの実習生の指導を行いましたが、いつも残業して指導を行っていました。
ムダな残業は役割分担や業務分担を明確にしていないことが原因
このように残業が多いのは理学療法の業務において十分な分担が行われていないことが本質にあります。
例えば上司や同僚たちが帰るまで帰ることができないと言うのは非常に非効率です。
本来は管理者が自分の業務が終われば帰ることを明言する必要があります。
また自主学習での残業は業務ではないものだとはっきりと区別する必要があります。
業務配分は経営サイドとも十分な交渉が必須
筆者の知る病院では経営サイドから「残業代を出すから、患者数は最大限までこなして欲しい」と言われて、業務をしている理学療法士がいると聞きます。
これは適切な業務配分ができているとは言えません。
残業とは本来、やむを得ない状況の時だけ行うべきものです。
残業を常習化する運営体制を認めてはいけません。
これは経営者の指示だとはいえ、そのような働き方を容認している理学療法士側にも問題があると言えます。
リハビリ部門を動かせる立場であれば業務改善に取り組むべき
では、このようなムダな残業を減らすことができるのでしょうか。
答えとしては本気で取り組めば可能だと言えます。
特に管理職などリハビリ部門を統率できる立場にある理学療法士であれば、残業が常態化していることを容認してはいけません。
ここまで挙げた残業が多い原因であれば、以下の取り組みを行うことができます。
- 残業を作らない仕事量の調整・配分
- 自主学習での「職場での居残り」に対するルールの徹底
- 教育担当者への業務量を調整
- 医師や他部門との交渉や折衝は当番制にする
業務改善が困難であれば迷わず転職すべき
しかし残業を作らない動きが見られない職場もあると思います。
また残業を減らそうと思う理学療法士が少ない職場もあるでしょう。
そのような職場であればすぐにでも転職活動を行うべきです。
同じ理学療法士とは言えそれぞれの人生です。
それぞれの働き方があっても間違いではありません。むしろ自分の考えに合わない働き方をする職場に居続けることの方がお互いにとって良くないことです。
自分の時間を作られれば何でもできる
残業が少なくなれば給料が減ると言う心配をされる方がいますが大丈夫です。
残業が無くなれば自由な時間が増えます。
自由な時間ができれば心身のストレスは大幅に減ります。
ストレスが無くなればその解消のために行ってきたムダな消費も減るものです。
一方で残業が減って体力的に物足りないのであれば副業をされてみてはいかがでしょうか。
理学療法士だけでなく医療職の多くは休日に他の医療機関や介護施設でアルバイトをしています。
また筆者の様にライターなど自分の特技や好きなことで副業をされることも人生の充実度は高まります。
転職先で残業の実態を「ズバリ質問しても良い」理由
最後に残業を減らすための転職をする時のポイントを解説します。
転職先を決めるとき「転職先は本当に残業が少ないのか」が気になると思います。それに対しては、面接や見学で正直に質問することをお勧めします。
なぜなら残業が少ない職場はそのことをウリにしていることが多いので、残業に対する質問にも快く答えてくれます。
一方で残業が当たり前の職場に質問すると応募しても内定しないので心配ありません。
理学療法士もより自由に生きていこう!
ここまで理学療法士の残業が多い現状と原因、そして解決策を解説してきましたがいかがでしたでしょうか。この記事でのポイントは以下の通りです。
- 残業が当たり前の職場は実在する
- モチベーションが高すぎて残業をものともしない人が多い
- 多忙がゆえに改善を考えることができない職場がある
- 医師が多忙であるゆえに合わせざるを得ない
- 残業してでも仕事を増やそうとする経営者がいる
- ムダな残業は現場のリーダーが取り組めば実現可能
- 残業改善の意欲がない職場からはすぐに離れるべき
- 転職活動では積極的に残業の有無を確認すべき
理学療法士は医療や介護の専門職として、患者様や利用者様に献身的に業務を行うことが課せられています。
しかし本来の勤務時間を大幅に超えてまで働くことは仕事のパフォーマンスを低下させる温床となります。
したがって理学療法士は残業が当たり前の職場から離れていくべきなのです。
なお、理学療法士の転職支援会社はこちらを参考にご覧ください。
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