介護の仕事をしていて退職される方は3パターンあります。
1つ目は余裕をもって退職届を出し、引継ぎをしっかりしていかれるパターン。
2つ目は徐々に欠勤が続き最終的には職場に来られなくなるパターン。
そして3つ目は急にパタリと来られなくなるパターンです。
以上の3つの中で結構“退職あるある”なのが3つ目に紹介した「1日で来なくなるパターン」です。
介護職に限らず1日で辞められる新人の方というのは年々増えてきているように感じています。
今回は1日で退職をされる方っているの?その原因は?について触れていきたいと思います。
1日目で退職する原因はどこにあるのか?介護職初日の仕事って?
ちなみに就職が決まった介護施設での初日の仕事とは何をするのでしょうか?そこに原因があるかもしれません。
未経験者の場合
介護施設で未経験者が働くとなると、介護業務以外のお仕事になります。
介護の仕事というのは主に2つに分けられます。
ご利用者様に直接介護を行う“直接介護”。
そして身の回りのお世話をする“生活援助”です。
直接介護というのは言葉そのままの意味で、ベッドから車いすへの移乗、トイレ介助、お風呂介助や食事介助など直接ご利用者様の身体に触れて行うサービスを指します。
もう一方の“生活援助”というのは生活をする上での困りごとの援助を行います。
具体的な内容は介護士の援助からお部屋の清掃から洗濯、食事作り、食材や生活用品の買い出し、薬局にお薬を取りに行く事もあります。
介護士の資格がない状態だと“直接介助”の業務は行えません。
従って生活援助が主な仕事になります。
あとは、初日という事で施設内の決まり事や介護職員としての心構えの説明、物品管理、ご利用者様へのあいさつから始まります。
通所施設なら送迎車に介護士と一緒に周る事も出てきます。
経験者の場合
介護職経験者であるならば、午前中にご利用者様へのご挨拶や社内の決まりごとの確認、運営方針等の説明後、いきなり現場に入るケースが大半です。
施設では人員不足に悩まされていますので、即戦力な方だと貴重な存在です。
したがって現場にすぐにでも出てほしいと施設側は考えております。
新人介護士が1日で辞める原因は何なのか?
1日で辞める介護職員の原因は何なのでしょうか?いくつか見ていきたいと思います。
介護業界の理想と現実のギャップ
介護未経験者で多いのが、この“理想と現実のギャップ”です。
介護職のイメージだけで面接を受けに来て働いてみた、というケースです。
メディアや噂話で聞いたイメージ、求人票を見て抱いたイメージ、人のお世話をする素晴らしい仕事、人によって介護職へのイメージは様々です。
どんな仕事にも言える事ですが理想だけでは成り立ちませんし、想いだけで仕事が出来るほど簡単なものではありません。
介護職は体力を使う仕事でもありますし、業務に書かれていない事もしなければならない場面もあります。
面接時にこれらをしっかり伝えてない、または伝わっていないとこのような理想と現実のギャップを感じてしまい、1日で退職する事となってしまうのです。
また、これは施設側にも責任があると感じていて、少しでも求人を見て人が来てもらえるように良い事しか記載しないといった具合です。
求人を見て「これなら自分にも出来そうだ」と面接を受けて見事就職が決まったまではいいが、いざ現場に入ってみると聞いていた話と違う、求人には記載されていなかった、なんて事が起こってしまうのです。
職場環境
職場環境に馴染めずに1日で辞めてしまわれる、という事も実在します。
面接時に職場見学しているはずでは?と思われるかもしれません。
確かに必ず現場は一通り見ていただいています。働いている所、施設内、時間があれば現場のスタッフとも話が出来ます。
ここまでしてなぜ職場環境が原因で辞められるかというと、やはり見ているだけと実際に体験するというのは違うということです。
現場に出てみて初めて分かる事が多々あります。
職場環境が原因で辞められる方は介護職の未経験者が多くいる傾向があります。
初日の人間関係
これは介護職の経験者、未経験者問わずありえるケースです。
初日にオリエンテーションをした際、またはいきなり現場に入った際に新人に対してきつく当たってくる職員がいる場合があります。
初日に厳しくする事が大切だと考える施設もありますから一概に良いか悪いかは言えません。
ただし捉える側からするととてもじゃないけど明日から働きたいと思わない方も出てくるかもしれません。
また介護職経験者が以前働いていた施設を辞めて面接に来る際は、辞めた原因が人間関係による事が往々にしてあります。
それなのに初日から「この職場にもややこしい人間がいる」と捉えてしまいそれにより翌日から施設に来なくなるという事もありえるのです。
想像以上の疲労感
これも未経験者に多い傾向があるのですが、初日の疲労が想像以上だったケースです。
職業安定所の支援制度を利用して介護士の資格を取ってこられる方もいらっしゃいます。
しかし職場体験と実際に働く事では感じ方や責任感が全然違います。体力面、精神面、慣れない環境下での仕事になりますからかなり疲労が蓄積されます。
これは未経験者よりも職業安定所の研修を受けてきた介護職の方に多く見受けられるように感じます。
ご自身の中では研修で何度も現場を経験しているから「大丈夫だろう」という先入観から現実を見ると「これほど大変とは思ってもみなかった」と感じてしまうのです。
1日目で感じた疲労度合いが想像以上だったため、翌日目が覚めると疲れが取れない。
これだけ大変なのに対してお給料も良くない、そのような考えが頭をよぎります。
結果、初日で来なくなるのだと感じています。
介護職を続けていく自信が無い
初日の仕事を終えて「あっという間に1日が終わった」と感じる方がいらっしゃいます。
楽しいとか辛いとか感じる暇もなかった。。
常に時間に追われている感覚で目まぐるしく感じた方が初日で辞める際に考える事はこの「今後続けていく自信が無い」です。
介護の仕事は施設によって業務内容は似ています。
しかし時間配分は全く違います。
送迎してお風呂介助して、そのあとは食事介助してレクリエーションをして…といった様子で1日のサービス提供内容が詰まっている施設もあれば、そうでない施設もあります。
もしも後者のような時間に追われる事がそれほどない施設を希望されていた場合ですと「早く退社して別の施設に行こう」と考えてしまうのかもしれません。
聞いていた介護職の業務内容と違う
面接時に「施設内での業務はこれだけです」と話されていたとしても、現場に出ると聞いていた内容と違う、と感じる事があります。
例えば営業職希望で営業の仕事がしたいのに事務作業もしなくてはならない、このような事はどの企業でもある事です。
しかし面接時に「トイレ介助だけはどうしても出来ないのでそれでも良いですか?」と施設側に伝えていた。
しかし現場に出ると介護職だからしなければならないと言われた、となった際はとてもじゃないけど続けられないと感じてしまいます。
介護の仕事だからトイレ介助は普通じゃない?
と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、嗅覚過敏の特性がある方だと身体的な理由で出来ない方もいるわけなのです。
要するに想像以上のストレスがあった場合に1日でも辞めることはあり得ます。
まとめ
1日で介護施設を辞められる方は未経験者だけでは無いという事、そして雇う側、働く側、どちらが良い悪いという話ではないという事を分かって頂けたでしょうか?
介護職を辞める方も辞められる方もどちらにも原因があります。
実際に1日で退職した経験がある方も双方にとって納得のいく労働環境、労働条件を是非見つけてみてください。