介護は女性の職場だから人間関係が面倒くさそう。介護業界は人手不足、なんてことは以前から言われている事です。
人手不足とは言うものの面接に来られる方は少なくはありません。人手不足の理由は離職にあります。
その背景には残念ながら人間関係が多く関係しています。
今回は、介護職員同士の人間関係がつらい?その理由とは?、そしてその改善点についてご紹介します。
離職理由第1位
介護職は離職率が非常に高い職種です。
離職の理由として「介護の仕事内容がつらい」と言われる方は実は少数なのです。仕事が好きなのに辞める理由、それは「人間関係」です。
介護に限らず様々な職種の退職理由の半数以上が人間関係です。他の職種に比べて介護職の離職率は群を抜いて多いのです。
なぜ介護職の人間関係はつらいと思う方が多いのか、いくつか原因を見ていきましょう。
なぜ人間関係が悪くなるのか?
人手が少ない
人手が少ないと業務量が多くなります。
単純に10個の仕事があったとして、職員5名いたら2個ずつ分担できます。
しかし2名しかいない場合、1人5個の仕事をしなければなりません。それに仕事内容もそれほど単純ではありません。想定外の事態も往々にして起こります。
時には2人、3人とイレギュラーな事態に対応しなければならないこともあります。
人の命を預かる仕事ですから毎日違う事が起こるのは当たり前です。そういった現場で人手不足は致命的ともいえるでしょう。
人手が不足するとみんなイライラしますので人間関係はおのずと悪くなっていきます。
誰でも募集
「猫の手も借りたい」、とは介護施設を運営している方なら誰でも思う事です。
介護施設はどこも人手不足が蔓延しています。業務が過多になるだけならまだしも、介護保険法の制度により「人員配置基準」というものが設けられています。
例えば人員配置「3:1」とは、入居者3人に対し1人の介護職員または看護職員を配置してください、といったものです。この要件、つまり職員がいないと入居者を入れられない事態になります。
もしくはこれを満たしていないと減算と言われ報酬が減らされてしまうのです。
施設側はなんとしても減算を免れ、なおかつもっと入居者を増やしたい、となります。となるとどうなるか?
「誰でも良いから職員を入れよう」となるわけです。
レベルの低い介護職員が増えるとみんながイライラするので、これまた人間関係がギスギスします。
介護技術に差が出る
医療福祉の専門学校や新卒で介護職に就かれる方は学校で介護士としての心構えや技術を学びます。
中途採用で入社しても研修や勉強会が豊富ですので基礎的な介護の動きやスキルは学べます。
ただし現場では1人として同じ入居者はいません。車いすに乗せる移乗介助一つにしても十人十色。
そこで必要になってくるのが介護を行う上での心構えです。
何も考えずただ作業的に行っていては観察力が磨かれません。服の着脱時にもしかすると今までなかった傷が出来ている事が見つかるかもしれません。
そういった積み重ねがスキルに大きく変わってきます。
習った事をそのまま流れ作業のように仕事をしている人、技術を磨く、ご利用者様に少しでも負担のならない介護をするにはどうしたらよいかを常に考えて仕事をしている人。
人手不足とは言うものの、介護なら誰でもできると思っている方との差ができる一方になる事でしょう。
できる人間とできない人間がいると、当然ながらギスギスして人間関係が悪くなります。
余裕が無い
現場は慢性的な人員不足です。新しく入ってきた新人職員を育てる余裕が無いのが現状です。
自治体や会社などで研修や勉強会を定期的に開催していますが、施設によっては研修にも参加できないほどの人員不足に悩まされています。
そんな中で満足に仕事を教えることが出来ない、そうするとミスが出ます。誰でも人間なのでミスをします。
もちろん人の命を預かる仕事なわけですから、許されないミスもあります。ですが新人のミスは許容範囲内、教えた方のミスでもあります。
「なんで出来ないの?」怒る気持ちも分かりますが、怒る方も意地悪で叱っているのではなくその方にも余裕が無いのです。
人間関係改善のためには、先にゆとりの無い現場を改善する必要があるのです。
険悪になる
「あの人またミスしたらしいよ」。ミスをすると陰口を言われる、だから失敗できない。
こういった事は良く聞きます。
大抵はお局様、おばちゃん介護士、年配介護士の方からの陰口が多いようです。
介護職の女性(おばさん)はなぜ性格が悪いのか?どんな人が向いている?
新人や入って2~3年の方からしたら「嫌われたら仕事しづらいな、顔色伺って仕事しなければならないのが面倒くさいな」と思う気持ちもとてもよくわかります。
実際私もそうでした。
しかしこの方たちも若かりし頃、そうやって言われて仕事をしてきました。
一昔前は上からガンガン押さえつけて出る杭は打ちつけて言うことを聞かせる、自分たちの意見が何一つ通らない。
そうやって新人をコントロールして組織を纏めていました。
時代と言えばそれまでですが、悪しき風潮が今でも根付いているのです。
そのため介護が好きだと熱意をもって介護業界に飛び込んできても、「思っていた内容と違う、介護の仕事が好きなのに仕事を辞めたい」といった言葉が出てくるのです。
これではいつまでたっても良い人材も続きませんし、介護職の社会的イメージが悪いままになってしまうのです。
でも、こういったきつい人は徐々に減って働きやすくなっています。
給料が安い
介護施設はご利用者様が「1日利用して何円」といった形で報酬が貰えます。
例えば20名が20日利用してトータル○○円」といった具合です。したがって報酬単価が決められています。
決められた単価の中から施設の運営費、職員のお給料がお支払いされます。
報酬単価の財源は税金と保険料です。じゃあ職員のお給料を多く支払うにはどうしたらいいか?
運営費を削るか、国が報酬単価を上げるしかありませんよね?
一般の企業のように物を売る事業なら解決が出来そうですが、介護職のような許認可事業ですとお給料が安いといった問題は解決が難しいのが現状なのです。
人間関係の改善すべき点
ミスをフォローする体制を整える。
他の職員のミスを責めない、カバーする姿勢が大切です。
しかし人間関係が悪いと中々上手くフォローが行えるようになりません。職員にミスを受け入れる余裕を持ってもらうことが必要になってきます。
余裕をもって仕事する。
「余裕を持って仕事をしましょう」とはどのような研修会や勉強会でも言われている事です。
しかし何度も言われているという事は、余裕をもって仕事が出来てないという事になります。
ではどうやったら余裕をもって仕事が出来るようになるか、
人員配置、勤務体制
職員の顔色や作業内容を見ていると、最近疲れているのか?夜勤が多すぎないか?人間関係で悩んでいるのではないか?
などと気が付くときがあります。
そういった場合、仕事を手伝ってあげる、話を聞いてあげるのも良いかもしれません。
最近は職員のメンタルヘルスケアを取り入れている職場も多くみられます。
管理者に相談しやすい施設作りも効果的だと思われます。
まとめ
今日は介護職員同士の人間関係がつらい理由とその改善点についてご紹介致しました。
人が多くいれば不平不満は出るものです。
誰が上で誰が下だ、権力がある、自分が正しいなどといった感情です。
自分の意見を無理やり通そう、自分がずるい事をしてでも楽をしたい、そういった欲が少しずつ現場の人間関係を悪化していきます。
皆チームで介護をしています。
誰しも人間関係が悪い職場では働きたくありません。
余計な感情に振り回されないで目の前の仕事に皆が集中すれば自然と人間関係が良くなり、施設全体も良い方向に向いていくのではないでしょうか。
現在人間関係で悩んでいて転職をお考えの方もいるかもしれません。それもOK。
そんなときは、人間関係の良さそうな施設を人材会社に探してもらいましょう。
施設はたくさんあるので、必ず皆さんにあった施設にめぐり会えることができますよ。