「介護職は日勤も夜勤もあって労働時間が長い」
「誰もやりたがらない仕事なのに給料は安いし仕事内容はきつい。」
こんなイメージを持ったことはありませんか?
介護士の仕事は施設の時間管理さえまともならやりがいのある素敵な職業です。
しかし、一部の施設では今でも介護士の長時間労働が当たり前になっています。
なぜ介護士の仕事は長時間労働になってしまうのでしょうか?
今回はその原因と問題点について解説しますね。
介護士の労働時間は?
まず、実際の現場はどのような労働時間で動いているのかご紹介致します。
私個人が働いている、又は働いていた施設を参照にしていますので、あくまで一例です。
実際に長時間労働かどうかは会社、事業所事に異なりますので詳細は直接施設側に聞いてみたり、もしくは求人票を確認すると良いでしょう。
1)平日のみ
デイサービスなど日中活動の場の勤務になります。
通所施設ですので朝ご自宅までお迎えに上がり、事業所で日中活動、そして夕方ご自宅まで送迎するのが1日の流れになります。
日勤) 8:00~17:00(休憩60分)
2)2交代制
グループホームなどは2交代制を取りいれている施設が多く感じます。
グループホームは夜間サービスになるものの、それほど医療度が高くない方が入居しておられます。
従ってコールが鳴る事も他の入居施設に比べてほとんどありません。
私どもの施設だと夜間の見回りと火の確認、明け方になると電気の管理程度でした。
隣に病院が併設されていたこともあり、夜勤者の業務についてはほとんどありませんでした。
日勤) 8:00~17:00(休憩60分)
夜勤) 16:00~9:00(休憩60分)
3)3交代制
一般的な入居型の老人ホームなどが挙げられます。
介護度が中くらいから高い方にかけて入居されている施設だと3交代制を取り入れている所があります。
介護度が高いと介護士の業務量も増えて行きます。グループホームでの夜勤中はほとんど介護業務らしい業務がありません。
定期の見回りと緊急時の対応が基本でした。
しかし3交代の夜勤ではオムツ交換やトイレ誘導など自立が難しい方が入居されているので夜中でも介護業務を行います。
早番)7:00~16:00(休憩60分)
日勤)9:00~18:00(休憩60分)
遅番)11:00~20:00(休憩60分)
4)4交代制
主に病院内の勤務がこれに当たります。
介護度、医療度が高い病院では介護士の業務量が非常に多くなります。
看護師と協力して看護補助を行う場面もありますし、食事介助やトイレ介助など介護業務を行う場合もあります。
医療度が高いですから容態が急変する事や、緊急で入院になるとそのお世話をする事もあるので日勤、夜勤問わず気が抜けません。
早番)7:00~16:00(休憩60分)
日勤)9:00~18:00(休憩60分)
遅番)11:00~20:00(休憩60分)
夜勤)16:00~翌日の9:00(休憩120分)
交代枠が交わっている時間帯に申し送り等をします。
例えで言うと「〇〇さん、本日は発熱あり。」や「◇◇さん、昨晩より感情失禁あり。要観察。」といったご利用者様の情報共有を行います。
長時間労働になってしまう原因と問題
介護士不足
職員の労働時間が長くなる原因の一つに、介護士不足があります。
介護の現場では介護業務を行えるのは“介護士”の資格を持った方に限ります。
未経験者や資格が無い方は介護業務に従事できません。身の回りのお世話をする際、または介護の補助業務をしてくださるのは非常に助かります。
しかし直接介護をする職員がいなければ中々業務が先に進めません。
サービス費取らないから介護業務を介護士にさせなくても大丈夫だろう、と考えている施設も残念ながら存在します。
残念ですがそうしなければ現場が回らない事実もまた存在します。
もちろんサービス費を取る、取らない、の問題ではありません。
指導監査対象になりますので注意が必要です。
また、全国的に見ても介護士に限った事ではなく有資格者、無資格者、関係なく人手が足りていません。
フリーペーパーをパラパラ捲ると必ず介護事業所の求人は記載されていませんか?
それだけ長い期間掲載しなければならないという事はそれほど人員が足りていない事になります。
スキル不足
長時間労働の原因として、介護スキルの熟練度が低い事も理由として考えられます。
人手不足解消のために未経験者を沢山入れてしまうと、新人育成に手を取られすぎて先輩介護士の業務過多になってしまいます。
その分本来の業務が疎かになり、長時間労働に陥ってしまいます。
また、シーツ交換やオムツ交換、入浴介助など基本的な介護業務に時間をかけてしまうと、当たり前ですが労働時間が長くなってしまいます。
売り上げ
運営方針が施設の売り上げ重視だと、最低限の人数で回さなければならないケースがあります。
現場職員が少ない=業務量が多くなる、そして長時間労働になる事は誰が見ても明らかです。
タスク管理
昔からある介護施設だと「この業務は何の意味があるのだろう?」と疑問を持つような業務や、やらなくて良いのではないか?という業務が割と多くあります。
これらの無意味な業務が放置されダラダラ過ぎていくことで、介護士が本来しなければならない業務が終わらず中々帰れない事になるのです。
介護士の長時間労働の解決策はあるのか?
お給料は大事
何はともあれ、給料は大事です。
同じ業務内容で給料が違えば、それは給料が高い方に行きますよね。介護士の面接に来る人数も増えますし、人材不足が解消される確率はグンと上がります。
人材不足が解消されれば長時間労働からも解放されるのです。
介護業界が長い方ならご存知かと思いますが、介護事業は報酬単価が決まっている業界です。
その中で介護職の人件費にさける経費は決まってくるのですが、それでも多めに出してくれる施設は働き手としても非常に魅力的に映ります。
提示されている給料が高いと介護士が集まってきます。
そうすると一人ひとりの業務量が分散されて長時間労働をしなくてもクリア出来てくるのです。
余裕を持った業務内容
焦って業務に取り組むと裏目に出て長時間労働になることがあります。
時間短縮を意識しすぎてサービスの質に影響が出てしまい施設の評判が悪くなる事もあります。
業務改善
何よりこれが一番重要かと感じています。
どこの企業もそうですが柔軟に物事を考えられる人間ばかりではありません。
長時間労働削減のために業務改善を行いたいが、頭の固い上司がいる企業だと中々意見が通りにくいものです。
介護施設も同じで、長時間労働を助長する無意味な業務が散漫しています。
「この業務は何のためにあるのですか?」と聞いても職員が誰も答えられない、というのは珍しい事ではありません。
介護士が集まらないし業務の量も多い、売り上げが無くてただ忙しいだけで悪循環だ、と感じておられる施設が多く存在します。
その業務は本当にしなくてはいけない業務なのか?
業務の優先順位を考えるとそれは今やる必要があるのか?
納期はいつまでなのか?
など考えてみたことがありますか・・?
タスク管理を怠ると場当たり的な業務となり現場全体に余裕がなくなり、他の職員にも悪影響を与えてしまうのです。
何が長時間労働の原因となっているのか?無駄な業務をしていないか?
一度整理してみると何か解決の糸口が見つかるかもしれません。
まとめ
今回は介護士が長時間労働になる原因と問題をご紹介対しました。
長時間労働になると良い事は何もありません。
疲労は蓄積され集中力が途切れます。注意も散漫になるしミスが目立つようになります。
日本人はやたら丁寧に仕事をして長時間働くと「やった感」がでて頑張ったような気持ちになります。
しかし、そういった思考は昭和時代に刷り込まれた幻想です。
従って介護士が長時間労働にならないために、業務内容を今一度見直し改善する事が長時間労働にならない第一歩となるのです。
もちろん、こういった長時間労働はどんどん改善されていますので、ホワイトな施設も増えてきています。
現在働いている施設が長時間労働にメスを入れられない体質のようなら、そういったまともな介護施設に転職することをお薦めします。