介護施設で支援員を束ねる役割を担うのが『介護リーダー』になります。
介護リーダーのイメージは「大変そう、やりたくない」といったネガティブワードを思い浮かべる方も多いでしょう。
しかし、中には「目標があってやりがいがある」と言われる方もいらっしゃいます。介護リーダーの目標とはなんでしょうか。
ということで、今回は『介護リーダーの目標例』について触れていきたいと思います。
介護リーダーの目標とは?
具体的な目標例をご紹介します。
顧客満足度
ご利用者やご家族様にどれほど満足頂けるか、が介護リーダーの目指す目標の一つでしょう。
「ありがとう」の言葉が欲しくて仕事をしているわけではありません。
ここで触れた感謝の言葉に関しては過度なサービスを押し付けて無理やり「ありがとう」を言わせようとしているものではありません。
キチンと声にならないニーズにお応えするといった事をここでは指しています。
キチンとしたニーズにお応えするには適切なニーズのあぶり出しも必要となります。
アセスメントや個別支援計画はサービス管理責任者が作成されるので、立案時の意見としてお伝えするのも必要です。
日々計画に挙がっている介護サービスを提供するだけではなくニーズを捉え、しっかり対応していくことが顧客満足度に繋がります。
故に顧客満足度を目標に掲げている介護リーダーは少なくありません。
連携出来る環境を整える
多様なサービスを利用してお一人の方を支援する適切な介護サービスを提供するには職員間の連携が必要不可欠になります。
現場の介護士が直接介護を致しますので、人間関係がギクシャクしている時やスタッフのメンタルが不調な場合、サービス自体に影響が出ていきます。
そこで介護リーダーの目標の一つとして円滑な人間関係を掲げている施設もあります。
何をもって円滑なのか基準が曖昧なのですが、連携できる環境を整えるために私どもの施設で介護リーダーが実際に行っている業務をご紹介致します。
一つは月に2回必ず職員と面談を行う事を義務付けている施設です。
個別の面談を行い現場の問題を早期発見していく、可能なら解決に導く時間を設けています。
もう一つは施設自体に相談窓口を設けています。
こちらは24時間対応してくれる相談窓口で現場の職員に相談できない場合に利用をしてもらうものです。
統計的に見て上司と部下という関係は立場上、関係が悪化しやすい傾向にあります。ゴール無き目標でありますが、疎かに出来ない常に掲げている必要がある目標です。
ヒヤリハット件数0件
現場で起こるトラブルやヒヤリハットの件数を0にする事を介護リーダーの目標にしている場合もあります。
“ヒヤリハット”とは現場で起こったひやりとした事やハッとした事を指します。事故に繋がらなかったけど危険な可能性があったものを指します。
有名な法則でハインリッヒの法則というものがあります。
内容は300件のヒヤリやハットがあった際、29件の軽いミス、そして1件の重大な事故やトラブルがある事を表したものです。
様々な企業でこのヒヤリハット0件を目指す事を目標に立てられている業種がありますが、介護ももちろん該当します。
介護現場でのヒヤリハットは主にご利用者へのヒヤリハットです。ベッドから車いすへの際にぶつけそうになった、とか車いすでエレベーターに乗る際にフットレストが壁に合ったってしまいご利用者様の足の指が骨折した、等があります。
行政機関が開催している介護士の研修でもこのヒヤリハット事例や対応策について年間数回行われています。
施設全体の目標でもありますが、直接介護サービスを提供しているのは現場の介護士です。
介護士一人ひとりが気を付けていても時間に追われている時や人手が足りない時など、余裕が無い事も必ずあります。その際に落ち着きや安心をもたらすのも介護リーダーの仕事になります。
またフロアごとでヒヤリハット件数の報告をしなければならない施設もありますので、介護リーダーの声掛けやマネジメントがヒヤリハットの件数に影響を及ぼす事もあります。
介護リーダーの仕事は?
介護リーダーの仕事についてよく理解されていない方のために、簡単に仕事内容をまとめておきますね。
チームマネジメント
多くの利用者が利用している介護施設では2階建て、3階建て、と階層が分かれている造りになっている建物もあります。
一人で複数の階層を管理するのは非常に大変なので各フロアにスタッフや利用者様を管理する役職がいます。それが介護リーダーです。
現場の介護スタッフが4~5名ほどを1ユニットとしてお世話をします。介護リーダーの仕事はユニットのマネジメントが求められます。
マネジメント内容は人間関係や配置転換、業務分担など多岐に渡ります。仕事をし易い環境を提供するのも介護リーダーの仕事になります。
介護技術の指導
新人介護士やブランクのある介護士に介護技術を伝えるのも介護リーダーの仕事です。
ひとえに介護士と言っても提供しているサービスによって実践している内容が全く異なります。
また介護の専門学校を出ても実践を行うとなればイメージとはだいぶ異なります。
練習では感じられない責任感やプレッシャーが付きまといます。
また施設を運営していく際、介護技術以外の部分で事務処理や人間関係の部分が必要になってきます。そういった“施設で働く”部分の指導をするのも介護リーダーが担うケースがあります。
様々なニーズに対応
多様な案件に対応し、現場の介護士に支援技法をお伝えする事もリーダーの仕事になります。
例えば日中活動サービスのデイケアを例に挙げると、全員がデイケアに通える介護度の方ばかりではありません。
デイケアを利用する適正な介護度では無くても他の施設に空きがなくてここを利用するしかなくなった、故にデイケアの利用をしますといった方がいらっしゃいます。
介護度が高いですから、当然通常のサービス提供にも手がかかり、時間がかかります。
では、その施設の介護度に合った方ばかり利用していただけるか?と申しますと現実問題難しいのが本音です。
利用していただいて成り立つ業種ですので、収益を考慮した場合、多少ニーズに応える必要はあるのです。
そういった介護度が高い方の支援方法をお伝えするのも現場職員の調整も介護リーダーの仕事になります。
認知症ケアの実践、対応
現場では以前から言われていた言葉ですが「認知症ケア」という言葉が近年、世に広まりつつあるように感じます。
サービスの種類に問わず高齢者へのサービスを提供している施設ではこの認知症ケアの勉強会や研修が行われています。
“介護技術の指導”の項目に付随する内容ではありますが、介護度が高い低い関係なくどの施設でも認知症ケアの意識は必要になります。
現場で働いている職員で時々「今働いている施設は軽度の人ばかりだから認知症ケアの知識は必要ない」と話される方がいらっしゃいますが決してそうではありません。
なぜなら知識として認知症ケアを知っていればいち早くご利用者様の異変に気づける事が出来るかもしれないからです。
これまで介護士としてのキャリアはあるけれど認知症ケアを勉強したことが無い職員もいらっしゃいます。
介護リーダーはそのような方にケア技術をお伝えしたりするのです。
※こちらの記事も参考にご覧ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は介護リーダーの目標についてご紹介致しました。
施設全体の目標を掲げると売り上げですとか利用率といった“数字”が主に挙がってくる印象です。
しかし現場は数字よりもいかにご利用者様の満足度を上げるか、に注力した方が職員の退職率も減少し良いサービス提供が出来るようになり、結果的に顧客満足度に繋がると考えられます。