介護の現場には多数の介護士が在籍していて年齢や性別も様々な方が働いています。介護リーダーはそのまとめ役として機能します。
業務管理や人員配置など現場の職員が働きやすい環境を提供します。
向いている性格とか気になりますよね?
そこで今回は介護リーダーになる人の資質と心得についてご紹介していきたいと思います。
介護リーダーが求められる能力とは?
業務管理
介護リーダーの仕事といえば通常のサービス提供の他に現場のマネジメント業務が加わります。
シフトの調整は管理者が行うケースと介護リーダーが行うケースがあります。他には職員の配置や業務内容の分担など、現場を上手にまわすための指示を出します。
抱えている疾患や病気、介護内容もご利用者様によって違います。
それを毎回違う職員が対応するわけですから、キチンとした情報をお伝えするのも介護リーダーの仕事といえるでしょう。
また、“ユニットリーダー”のように法的に配置しなければならない役職ではないので、介護施設に必ずしも介護リーダーが存在するかといえばそうではありません。
人間関係の調整
介護業界で働くうえで切っても切れないのが職員同士の人間関係です。
どのサービス種でも女性の割合が多いと感じます。そんな女性だらけの職場で男性が活躍するのも中々大変。
理解のある施設も沢山増えてきていますが、全てかと言われるとまだまだこれからだとも感じます。
また年齢層も幅広く専門学校や大学、高校卒業してすぐ介護職に携わる方も珍しくありません。上は定年を迎えた方はまだ若い方で、70代で介護士をされている方もいらっしゃいます。
多様な価値観や環境で育った人たちが働いている職場の人間関係の調整を行います。
チームを纏める統率力
男女関係なく人間が集まれば愚痴も出てきます。
面接時に「お互い干渉し合わない人間関係を築きたい」と全員が言っていてもニッパチの法則のように必ずと言っていいほど決定権のある職員とそうでない職員に分かれます。
そういう関係性が出来上がる事により意見の食い違いが出て来る、自分たちが正しいと思い込んでしまい派閥が出来てしまう、結果的に関係悪化の火種が生まれます。
介護リーダーが上手に束ねる事により業務に支障が無い状態を作らなければなりません。
異業種からの人材に対応
介護職は万年求人募集をしている業種、と言われています。その原因として人の入れ替わりが激しい、地域によっては働き手がいない事が理由としてもあげられます。
昭和後期あたりでは介護職は介護の学校を出た人しか働かない仕事でした。
しかし平成になりバブルが崩壊して以降はこれまで介護職に携わったことが無い無資格の人材が集まるようになりました。
元々働き手が足りなかった業界に新人が流れ込む形となりました。
その流れは今も続いていて私どもの施設では介護専門学校を出てから介護施設に来られた方はわずか2割程度でした。その他の人材は私が働いている施設に来る前は別の仕事をしていた方ばかりでした。
介護リーダーはこのような異業種から来られた職員のスムーズな受け入れが求められます。介護施設の環境は独特です、人間関係も独特と言えます。
そのため異業種から来られると面倒くさいと感じる事もあるでしょう。
介護リーダーはそんな介護業界に来られる方が働きやすいよう業界の常識や、介護士としての心構えをお伝えする必要があります。
介護業界の研修制度は充実しているので学ぶ姿勢があればどんどんレベルアップ出来ます。
そういった研修制度もありますよ、と情報をお伝えして介護職に興味を持っていただくのも介護リーダーの仕事といえるでしょう。
現場に出ながら現場職員を見る視野の広さ
介護リーダーはマネジメント業務ばかりしているのか?と思われますがそんなことはありません。
通常の介護士同様、現場で介護サービスを提供いたします。配置基準としては介護リーダーを必ずおかなければならないとは定められておりません。
従って介護リーダーの業務内容も各施設で違う事になります。
サービス管理責任者や施設長の仕事をどこまで任されるかは施設次第という事になるでしょう。介護リーダーの働き方も施設によります。
基本的に現場に出て合間を見てマネジメント業務を行う所もありますし、週に数回はマネジメント業務にリソースを割く事を決めている所もあります。
どちらにせよ、現場に出て利用者と職員の様子、両方を見て動かなければならない事は間違いありません。
※介護リーダーの具体的な仕事内容はこちらもご覧ください。
介護リーダーの心得
どこにも属さない中立の立場
複数の介護士を束ねる介護リーダーは常に中立の立場でいる事を心得る必要があります。
例えば派閥がある施設だとすると、片方の派閥に加担すると残された方の派閥の人から不平不満を言われますし個人同士のトラブルでも同様です。
“良い、悪い”で判断してしまうとどちらかが必ず悪者になってしまいますので決めつけるのではなく、双方に言い渡す必要があります。
また、介護リーダーは他の介護職よりも少々立場が上にあるように思われる方もいらっしゃいます。中には介護リーダーを味方につけたら勝ち、といったような歪んだ思いを持たれる方もいます。
どのような状況下であっても介護リーダーはフラットな立ち位置でいなければならいのです。フラットでなければ現場から不満が生まれ統率が取りづらくなっていくのです。
信頼関係を築く
現場の職員に情報を伝える事や業務を教える事もそうですが、良くない行いに対して厳しく対処するのも介護リーダーの仕事になります。
マネジメント業務は管理者やサービス管理責任者の仕事でもあるのですが「今後注意するように現場の○○さんに言っておいて」と頼まれる事が多くあります。
仕事なので現場に伝えるのですが正直気持ちの良い物ではありません。
叱られる方もそうですが、叱るのもエネルギーを使います。ここで叱り方を間違えると恨みが生まれます。職員間でギクシャクしてしまう事になります。
では上手な叱り方とは何かと聞かれる事があります、それは職員との信頼関係が築けているか重要になります。
信頼関係と言っても目に見えないものなので一方通行な場合もあるので注意が必要です。信頼関係を築くには現場の声に耳を傾ける、これに尽きます。
自分の意見を通そうと思わず、現場が抱えている不満や不安を言ってもらえる関係性です。
悩みや相談を自主的にして下さる現場の職員は信頼してもらえているのかな、と感じられる視座でもあります。
介護リーダーの資質
余裕を持つ
これはリーダーの資質として非常に重要です、いかなる時も余裕を失ってはならないと感じています。
余裕が無いリーダーの下で働いている介護士はどこか気を使い萎縮している傾向があります。
「リーダーだから引っ張っていかなきゃ」という思いが強いとそれが裏目に出てしまう事もあります。自分自身に余裕が無くなると視野も狭くなります。
またこの現実から逃れたいと誰か一人に責任を押し付けてしまう方もいらっしゃいます。
余裕を無くす事で良い事は何一つありません。介護リーダーと言っても人間です、体調や精神的な波はあって当然です。
ですが、仕事をしている以上余裕を持つことを意識出来ている介護リーダーがいると現場職員は働きやすいと感じているでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
実際に現在介護リーダーを任されている方の話を交えてリーダーの資質と心得についてご紹介致しました。
これから介護リーダーを目指そうと思われている方、安心してください。きちんと介護リーダーの上には管理者やサービス管理責任者、施設長がいらっしゃいます。
介護リーダーの辛さや大変さを分かっている方たちです。頼れる存在がいるので臆することなくチャレンジしてみてくださいね。